「──アクト様は、両親から虐待を受け、五才の時に城門前に捨てられていた私を拾い、成人するまでの間、下官として面倒を見て下さり、学校まで通わせて下さいました。」


「!!」


「学校を卒業した後は、ご自分の書官として取り立てて家を下さいました。…本来ならば私は、城になど入る事も出来ないような身分の者です。」


淡々と話すフェイとは別にエリーゼは言葉を失った。


「不快に…思われましたか?」

「い…いいえ。…でもまるで、他人事の様に話すから。」

「…私にとっては他人事も同然ですから。」


そうやって言った表情は、依然変わらないままだった。