できれば、忘れたまま一生を過ごせられればいいけど 病気は、そんな都合よくはない。 また、記憶が飛んだ。 あたしは、いつの間にか 産婦人科で診察をうけていた。 "「あんだけ色々あったから」" と 利一が心配して 連れてきてくれたらしい。 利一は、優しい。 赤ちゃんは、無事 順調だそうだ。 ただ あたし等は 喜ぶことも 悲しむことも 忘れていた。 あたしは、不安定だった。