近くの空き地、公園、田んぼ…。

静かな風景を見ながらも優里の心の中では波が打ち寄せていた。

朝の状態からすると家の中は滅茶苦茶か、母が優里を心配し帰って来て、言い合いになっているかのどちらかだから。


ただ…せめて静かになっている事を祈りながら優里は家の前まで来た。


車は…無い。母はまだあれから帰ってきていないのだ。

恐らく夜遅くになるまで祖母の家か今朝お願いした友人の家に父と居るのだろう。


無事である事は嬉しいのだが…

反面に優里は見えない恐怖に耐えなければいけない事に酷く怯えた。


(何も…起こらないと…良いな…)


そう思いながら、玄関のドアを弱々しく開けた。