「えっ…あっ…あ…」


その瞬間、二人の隣を轟音と共に電車が走り優里は我に返った。


「すみません!!」

男の腕を振り切り、わき目も振らず優里は全速力でそこから逃げた。

「あ…!ちょっ…」

優里を追いかけようとした時、

パー!


クラクションの音が響き渡り男もハッとそちらを振り返る。

見ると踏切の前にある自分の車の後ろに数台の車が列を成していた。

「おい!困るよ、開いたから早く出してよ!」

「ちょっと早く!」


「あっ、すみません!」

男は優里が気になりつつも急いで車に乗り、踏み切りを越えて走り出した。