静寂に包まれた音楽室。 今ここで聞こえるのは、鳥の声と自分の息づかい、そして恭平が淹れる紅茶の音。 ひんやりした空気、薄明かりの中のピアノ。 誰も居ないこの部屋を優里は何だか違う世界を見るように見つめていた。 優里は何か静かなこの世界に、柔らかな羽を持つ妖精が降りてくるよう… そっとピアノを弾き始めた。 感情をぶつけない…優しい色で。