部屋へ戻るのを確認した優里はそっと母の鞄に最低限の荷物を入れ、

一旦外に出て母の友人へと電話をした。

階段から落ちたショックで倒れ込む母へ鞄を渡した。

そっと外へ行くように促して。


寝不足だったのか、部屋で兄がすぐに深い眠りに就いたのを確認すると、優里は母に言った。


「お母さん、私は大丈夫だから。友達かお婆ちゃんの所で休んでいて良いよ。

お父さんにも…そう伝えて」


今にも壊れそうな笑顔を母に向けた。

14歳の少女が持つ全ての気力と…虚勢。