深呼吸をして表情を作り返る。

(向井さんにも迷惑をかけないようにしなきゃ…)

笑顔で見送った優里は玄関へと入って行った。


両親の靴は無い。

母は…何かされないようにどこかに身を隠したのだろう。


優里は母が無事であるように、

兄の気持ちが穏やかであるように、

最後に自分が出来れば無事であるように



そっと願った。