「家、入らないの?」 立ち尽くしている優里に千理は帰りを促した。 (頭の中はさぞかしご家族が心配して待っているかもしれない。) だが千理の様子を見て違和感を感じた。 優里は、家を前に硬直していたから… 斜めから見ていたからハッキリと表情は読みとれないが… 口を締め、何かを願うような切ない雰囲気だった。 が、次の瞬間くるりとこちらに笑顔を向け言った。 「送って頂いてありがとうございました。