何かと母親に当たり散らし、食事が気に入らないとひっくり返す…
優里のピアノがうるさいと言い、弾いていると機嫌悪くなり、その煮えたぎった感情を母にぶつける…
優里がピアノを習っている事が気にくわないからピアノを壊せと言い、とうとうピアノ線を全部切ってしまった…
あまりに無茶苦茶な言い分に何か理由があるのかもしれないとは思っていたが…
優里は恐怖に怯え、考える余裕すら残っていなかった。――
「…あ…踏切…」
ふと現実に戻り顔を上げると、いつもの北大路の踏切まで来ていた。越えるともう家まで後15分という所。
優里はすぐ家に帰りたくないと思い…高台の方へと足を向けた。