その問に母は少し思い詰めたように

「竜也お兄ちゃん…家に帰ってくるんだって」

と答えた。

私は驚く事も無いと思い、心の中で小さい頃よく遊んでくれた“たっちゃん”が帰ってくると喜んでいた。

(たっちゃん元気かな…また私のピアノ聞いて欲しいな…)

ただ単純に兄が帰るまで、そんな事ばかりを考えていた。

だが帰ってきた兄は…昔のままでは無かった。