少し恭平は考え、言った。

「場所は要相談だな。費用は…ソルフェも入れたら…安くて1回60分から90分、レッスン代は1万円はかかると思う」

恭平の話を聞き終えた優里は顔を伏せ、軽いため息混じりに返答した。

「そう…ですか。ありがとうございました。」

そう返した瞬間に優里の頭に兄や母の色々な姿が次々に浮かんできた。

優里には金銭ではなく家族間での問題が、打ち崩せない城壁の如く立ちはだかったように感じた。