「しかし、倉科くんのピアノは磨けば光りそうだな。誰か師事する人を紹介してあげようか?まぁもし君がその進路を選ぶならの話だけど…」

「…っ」

その恭平の話を聞いた途端、優里は表情を僅かに強ばらせ、胸が締められるような思いがしながらも、必死にそれを抑えつけるように微笑して聞いた。


「近く…ですか?レッスン費は…どれくらいですか?」

締め付けられる痛みより、淡い希望に想いを無理やり寄せ、恐る恐る聞く。