―夕方。 授業も終わり、生徒達が部活に明け暮れる時刻。 優里は音楽室のピアノを弾きながらいつ帰ろうか悩んでいた。 普段、家のピアノを弾くと神経質な兄が機嫌が悪くなってしまうので、なかなか触れる時間が無い。 (あの家にはなるべく居たくないな…。 久しぶりだし、もう少し弾いてから帰ろうか…) またそんな風に考えていると、ガラッと小気味の良い音を立てて 音楽教師の志摩 恭平先生が入ってきた。