「ほら、手当て終わったよ。ちょっと痛かったかな」

優里の頭を撫でながら千理は言った。とびきりの優しい笑顔で。

その瞬間、優里の心は温度を取り戻し、顔を歪ませて呟いた。

「ご…ごめんなさい。迷惑…か、かけて…」

「迷惑じゃないよ、気にしないで。大して色々出来ないけど…」


その千理の言葉を聞いた優里は、首を横に振りながら顔をくしゃくしゃにして泣いた

閉ざした心から零れ出た顔…やっとの事で年相応の姿が浮かび出た少女に、千理は一息つく。



「泣いて良いよ。ここは、そんな場所だと思ってくれて構わないから」


そう言うと千理は優里をそっと抱き寄せた。