「そうそう、俺さ、倉科さんのピアノ好きなんだ。心が落ち着く感じがしてさ」


「えっ…聞いてたの?わー…」


恥ずかしがる優里とカラカラと笑う香。


更に実は一年生の時から、優里のピアノの隠れファンだった事、こっそり廊下で聞いていた事を聞かされて優里は恥ずかしくなるのだった。


「知らなかった…」


「倉科さんってピアノ上手いよね。上手いだけじゃなくて…こう、もっと聴きたくなる感じ。やっぱり音大とか行くの?」


香からの何気ない質問。


それなのにその進路に関する質問は、優里の胸に深く刺さった。