「…ふぇっ…え…?」

千理のあまりの声に優里は目を開けた。焦点が合わずまだ震えている。

「大丈夫か?優里…ちゃん」

優里の顎を持ち、千理は無理とは思いながら自分に目を合わせさせた。

「……。」

またぼーっとしてはいるが、その怯えた目に胸が痛んだ千理は優里を強く抱き締めた。

「ここは大丈夫…だから」

震える優里を落ち着けるように、頭を撫でながら耳元で優しく囁いた。


「君を傷付ける人は居ないから」


その声にようやく安心できると無意識に捉えたのか…優里は今まで溜め込んだ感情を抑えてはいられなくなった。


「うっ…うぅ…」


声を殺して泣く優里を、千理は子供をあやすように更に抱き包む。


せめて今だけは…恐怖に捕らわれないようにと思いながら。