「優里ちゃん!大丈夫?こんな寒い所で…」

優里はうずくまったまま顔を上げた。

蛍光灯のせいか心なしか少し青白い。

「鍵…返そうと思ってたんです…すみません」


千理は優里から鍵を受け取ると玄関のドアを開け、上がっていくように促した。


「待たせてごめん、お詫びに温かいもの作るから良かったら飲んでいって」

少し入るのを戸惑う優里に微笑みながら、更に千理は言った。


「大丈夫、何もしないし、出来ないから(笑」

千理の言った事が十分に理解出来ない優里は、?マークが浮かびながらも好意を無駄にしたくないと思い、お茶だけ頂く事にした。


「???…ぉ、お邪魔します」


その動作にくすくすと笑うと、千理は上着とネクタイを取り、お湯を沸かし始めた。

「あ…えっと…すみま…せん」


悪くないのに申し訳無さそうに謝る優里に、千理は優しく微笑んだ。