部屋の中は雑然としていた。

何もかもが散乱していて、優里にはまるでそれが兄の心を表現しているように見えた。

その中で…

兄は小さく泣いていた。


「俺はこんな事がしたい訳じゃ…無い。でも時々…自分が自分じゃないように胸が苦しくて気持ちが暴れ回る…。

どうしたら…良いんだ…お袋にも手を上げたい訳じゃない…ただ…抑えられない」


優里はそんな兄の気持ちを聞いて泣かずには居られず、ポロポロと涙を零した。


兄に取り付く心の病と、それに伴う苦痛を思って静かに泣いた。