「話し‥ます」
「最初からそう言えよ」
死ぬ前の人間は口が軽いんだ。
「八神‥は‥うちの組がいつも依頼する何でも屋‥で‥どんな依頼も手際よくこなした‥」
俺は、こいつが話し出したと同時に、ボイスレコーダーのスイッチをいれた。
「八神は、相当な完璧主義者で、全ての事において完璧を望んだ」
なるほど‥
だから俺の親父は殺されたのか。
「おそらく、彼と一緒に仕事をして、生き残れる奴は少ないだろう‥‥
かつて、最強の殺し屋と謳われた“bloodshed”も彼に殺されたと言う噂だ」
bloodshed‥
血の雨‥
血の雨を降らせる男、という意味らしい。
久しぶりに聞いたな‥
「bloodshedは最強の殺し屋だった。けど、そいつを殺すんだから八神‥‥loneliness manも大したもんだよ」
loneliness man‥
孤独な男、か‥
「奴は今、どこにいる?」
loneliness man、八神への怒りを抑え、なるべく落ち着いて聞く。
その時、組長の口許が緩んだ‥
そして‥
「蓮っ!!」
── バンッ バンッ
エリカの声、直後に響き渡る銃声。
「‥ッ‥‥」
一瞬何が起きたのか理解出来なかった。
「‥エリカ‥さん‥?」
ただ、理解出来たのは、エリカが久々に人を撃ち殺したという事。
「まだ話、途中だったんですけど?」
「ふーん、そう」
エリカは、大事な情報元を殺してしまったようだ‥
「帰ろっか?」
その笑顔、怖。
「はい」
俺は、エリカ専用ヘルメをエリカに手渡すとバイクに跨がった。