真由子があたしを見ながら聞いてくる。
でも返事ができなかった。
まるであたしだけ時間が止まっているようで……。
ただ……蓮くんの楽しそうな笑顔だけが目に焼き付いた。
キーンコーンカーンコーン。
「ねぇ……」
「ねーってば、めぐり」
はっ。
ハッと我に返って振り返ると、後ろの席の蓮くんがあたしを見つめていた。
そしてあたしにプリントを差し出してきた。
「プリント……集めて」
あ。そっか。
あたしは慌てて差し出されたプリントを受け取った。
「あーごめん」
微笑みながら謝ると、蓮くんはあたしを見て首を傾げた。
「どうしたの?ボーッとして」
「あ、ちょっと眠くて」
一瞬何て言えばいいのか迷った。