携帯電話のバイブ音が鳴って、草沼が病室の外へ出て行く。


茉葵の目から自然と涙が零れ落ちた。


「あの男のことはあまり考えるな。

まぁ、大事なことを忘れられるのも、こっちとしては困るけど」


病室に残っていた草沼の部下、藤枝 優人(フジエダ ユウト)が茉葵の枕元で囁く。


あの男って、義朗のこと?


茉葵が優人の方を向こうとした時。


草沼が戻って来た。