ベッドに近づいて名前を呼ぶと、芽衣は潤んだ目で俺を見上げた。
すると芽衣は泣きながら俺に抱きついてきた。
「耀……。あたしね?耀が赤ちゃんを大切にしてくれる事はすごく嬉しいの」
「うん」
「あたし達の赤ちゃんを大切にしてくれてホントに嬉しいの」
「うん」
芽衣の気持ちが痛いくらい伝わってきた。
「分かってる。俺が悪いんだ。ごめんね?」
最近俺は赤ちゃんの心配ばっかりして、芽衣の事を見てなかった。
芽衣の事考えてあげられてなかった。
「俺達の赤ちゃんも大切だけど。ちゃんと芽衣の事もすっごい大事に思ってるから」
俺はそう芽衣に言いながら芽衣を抱きしめた。
すると芽衣は泣きながら俺にしがみ付いた。
「あたしこそ……ママになるのに。自分の子供に嫉妬したりして……ごめんなさぁい」
そう言って泣いている芽衣を見て俺は微笑んだ。
ママになるのが近づくにつれてしっかりしてきたなって思ってたけど。
こうやって泣き虫な所とか。見たら、芽衣もまだまだママになりきれてないんだな。って思った。それは今日産婦人科に行って、俺の頼りなさと重なって何だか嬉しかった。
泣きじゃくる芽衣を見て、俺は一緒に強くなっていこうって思った。