「うるさいなぁ。男はこういうの緊張するの」
そう言うと、芽衣はクスッと笑って受付へと歩いて行ってしまった。
その背中を見つつ、待合室を見ると……。人多くないか?まだそんなにお腹の大きく無い人とか、もう産まれそうな臨月入ってる感じの人とか……。
少子化とか嘘じゃないの?
すごい妊婦さんいっぱいいるよ?なんてツッコミを入れていると、受付を終えた芽衣が近づいて来た。
「耀?立ってないで座ってたらいいのに」
そう言って芽衣は空いている席にゆっくりと座った。
「早く座ったら?」
微笑みながら俺を見上げる芽衣に、俺は慌ててその芽衣の隣に腰掛けた。
すると隣に座っていた妊婦さんが俺達に話しかけてきた。
「もしかして……芽衣ちゃんの旦那さん?」
「はい?」
突然芽衣の名前が出てきた事に驚いていると、芽衣はヒョコッと顔を出してその妊婦さんに声をかけた。
「石塚さん……こんにちは」
石塚さん……。この妊婦さんはそういう名前らしい。
芽衣と仲良くしてるらしいと察した俺は、石塚さんに頭を軽く提げた。
「あ、そうです」