すると耀はそっとあたしの手を握ってくれた。その手はすごく温かくて……。その手は全てを受け止めてくれる。
「芽衣。きっと俺達みたいな状況になったら、誰だって不安だと思うよ」
「え?」
その言葉に顔を上げると、耀はフッと優しく微笑んだ。
「だって1人の命が生まれるんだよ?その命を守るんだよ?いい加減な気持ちでいられる訳がないよ」
耀はまた微笑んだ。そしてあたしの手をギュッと握って耀は俯いた。
「だから……俺だって不安だし」
「え?」
そうなの?さっきずっと笑ってて……そんな風には見えなかったのに。すると耀は眉を下げた。
「俺は子供を産む痛さも……感じられないし。不安もきっと、芽衣の不安の大きさには敵わないと思うし。俺ができる事は、芽衣の不安を少しでも和らげる事しかできないから」
そう呟いてあたしの頭を自分の胸に押し付けた。
「だから俺は少しでも……俺の不安を芽衣に気付かれないように笑ってたいんだ」
耀……。
「ありがと」
耀の気持ちを聞いてあたしの不安は少し和らいだ。