「ごめん……あはっ。何泣いてるんだろ」
そう言って無理矢理笑って見せた。でも耀の心配そうな表情は変わらなかった。耀は何も言わずにあたしをそっと抱き寄せた。
「……耀……?」
びっくりして名前を呼んでみたけど、耀は何も言わずに抱きしめる力を強くした。
「ねぇ耀……」
もう1度呼んでみたけど返事をしてくれない。
「耀……」
名前を何度も呼んでいるうちに、涙が零れてきた。何か言ってよ……耀。何で何も言ってくれないの?笑っててよ。その笑顔であたし……元気になれるのに。不安消せるのに。すると耀は、小さく呟いた。
「……不安?」
その声は震えていた。
「不安だよ……」
「何が不安?」
あたしの頭を撫でながら優しく聞いてくる。
「無事に生まれてきてくれるのかな。とか……。ちゃんと育てられるのかな。とか」
他にもいっぱいあるよ。いっぱいあり過ぎて、もう何が何だか分からないくらい。