「ありがと」
そうお礼を言うと、黙っている耀に男の子は聞く。
「ねぇお兄ちゃん。お兄ちゃんのおよめさんってこのひと?」
そう聞かれると、耀はフッと笑ってあたしに歩み寄ると、あたしの腰を抱いた。
「そうだよ」
優しく微笑みながら頷く耀に、あたしは顔が真っ赤。すると男の子はニコニコ笑いながら口を開いた。
「ぼくもお姉さんみたいなひとおよめさんにする!」
そう言って笑う男の子に耀はまた視線を合わせるためにしゃがみ込んだ。
「うん。でも芽衣以上にいい女はなかなかいないから。難しいよ?」
え……。
「ぼくがんばるもん!」
耀……。さっきから嬉しい事言い過ぎだよ。
あたしの涙腺は壊れてしまった。みるみる涙が溢れてきてあたしは必死に拭う。
「芽衣……」
愛しそうにあたしの名前を呼ぶ耀があたしの頬に両手を添える。