―灰皿王子の場合―
俺、清水晴斗。
役所で働くどこにでもいる普通の男。
まぁ、彼女の陽菜に言わせれば、かなりかっこいいらしいけど。
誰じゃあ。
「あ、すいません」
誰かとぶつかった。
陽菜へのクリスマスプレゼントを買いに来ていた俺は、何を買っていいのかわからずに、ただうろうろしていた。
「いえ」
顔を上げると、そこには俺に負けず劣らないイケメン男性が立っていた。
俺よりも少し年上だろう。
俺にはない大人の魅力が漂っている。
俺と同じように彼女へのプレゼントを買いに来ているようだ。
しっかし、悩む。
プレゼントとか……
陽菜は何が欲しいんじゃあ?
あ、“俺”かな?
陽菜なら、“王子が欲しい”って言ってくれるんだろうけど。