「先輩!!ちょっと見てください」
出来の悪い後輩が、私の腕を引っ張った。
「何よ」
不機嫌に答える私。
こんなサンタの帽子をかぶってること自体、イライラするんだから。
「チョーかっこよくないですか?あの人」
後輩の視線の先にいたのは……
「何、あれ?何かの撮影じゃない?」
「まさか~!」
背の高い3人の男性が、鞄コーナーに立っていた。
スポットライトを浴びたように、その3人が明らかに目立っていた。
お客さんまでもが視線を向ける。
「やばいね、あれ」
「先輩はどの人がタイプですか?」
「私は、あの黒いコートの人かな」
「私は、ダッフルコート着たかわいい顔した人ですかね」
後輩が選んだ男性は、3人の中では1番背が低いけど、それでも175くらいはあると思う。
長身で悩んでいる私にとって、夢のような3人だった。