いけないいけない。
ついついローズマリーの香りをかいでいると、香織のことを思い出してしまっていた。
誰もいないからいいが、完全に俺はニヤけていた。
ハッ!!
やばい。
さっきまでこの場所には、俺ひとりしかいなかったのに。
いつの間に……
目が合った。
ふたりの男性が、すぐ近くで俺を見ていた。
俺がニヤけていたからなのか?
それとも、ただアロマに興味があるから?
俺は、ドキドキする気持ちを隠しながら、ラベンダーのアロマに手を伸ばす。
「はっ! すいません」
同時にラベンダーのアロマの瓶に手を伸ばした人がいた。