「きゅうせいはいえん」
っていう
びょうきになって
ずっと
にゅういんしとった
やっと
きょう
てんてき
がとれて
トイレまで
じぶんであるいて
いけるようになった
でも
ずっと
ねてたから
ふらふらする
かんごしさんは
『コウくん、むりしたらだめよ』
っていうてたけど
たいくつやったし
おきあがって
あるいてみた
そしたら
やっぱり
トイレは
けっこうとおくて
じぶんの
びょうしつから
でて
しばらくしたら
ころんでしもうた
その
ころんだところの
まえのへやの
ドアは
あきっぱなしやって
なかにいた
おんなのこが
こっちみて
わろてた
ぼくは
わらわれて
はずかしかったから
そのおんなのこを
にらんでから
トイレいった
つぎのひも
また
じぶんひとりで
トイレに
あるいてった
だいぶん
ふつうに
あるけるように
なったから
きのう
ぼくを
わろうてた
おんなのこに
もんく
いうてやろ
おもうて
あのこの
へやのまえまできたら
きょうは
ドアがしまってた
それから
もう
トイレは
まいにち
じぶんで
いくように
なったけど
あのこの
へやの
ドアは
なかなか
あいてること
なかった
しばらくして
ひさしぶりに
ドアが
あいてる
ひが
あった
ぼくは
トイレのかえり
なかを
のぞきこんでみた
『だれー?』
なかの
おんなのこが
こっちみて
いうてきた
ぼくは
なにもいわずに
だまってたら
『あれ こないだ ころんどった こ やん』
っていうてきた
ぼくは
また
はらたってきたから
へやに
はいって
いうたった
ころんだとか いうなやー
そしたら
そのおんなのこ
なんかしらんけど
わらいおった
『だってー ころんどったやんかー』
そら
ころんでたけどなー
そんなん
いうなやー
『わかったってー じゃあ もう いわへんからー』
うん いわんといてや
『なまえ なんていうん?』
コウサク・・・
『なんさい?』
5さい・・・
『うちのほうがおねえちゃんやなー』
『うちは ミコト っていうねん もう漢字わかる?』
ぼく・・・
まだ
じぶんのなまえしか
かんじ
わからへん
『そうやんなぁ 今 一年生?』
ううん・・・
ようちえんの
おおきいくみさん
『うちは7歳で二年生やで』
ふうん・・・
それから
ぼくは
まいにち
ミコトちゃんの
へやに
いった
ミコトちゃんの
へやは
ぼくのとこと
ちがって
ひとりの
へや やった
それに
へやのなかに
いっぱい
きかいとか
きぐとかあって
ぜんぜん
うちと
ちがってた
でも
ひとりのへや
やから
おいしゃさんとか
かんごしさんとか
いがいは
だれも
こんかったから
ずっと
ふたりで
あそんでれた
『コウくんは おっきくなったら なんになりたいん?』
ミコトちゃんが
おりがみで
つる を
おりながら
きいてきた
ぼく
おいしゃさんに
なろうかと
おもってるねん
『なんでー?』
ぼく
にゅういんしたん
これで
はじめて
ちゃうねん
まえに
にゅういん
したときも
めっちゃ
くるしかったけど
おいしゃさんが
すぐに
なおしてくれてん
だから
ぼくも
おっきくなったら
おいしゃさんになって
くるしいひと
なおして
あげたいなって
『ふうん・・・』
ミコトちゃん
つる
ぼくも
できたで
ほら
『コウくんのおりがみ ぜんぶ きたないー おりかたがざつやねんー』
ミコトちゃんは
おりがみ
うまいもんなー
『うちは おいしゃさん きらい』
なんでなん?
『そりゃ びょうき 早く なおりたいけど いっつも いたいこと ばっかり するんやもん』
ふうん・・・
じゃあ
ミコトちゃんは
おっきくなったら
なにに
なりたいん?
『うちは・・・ およめさん』
およめさん?
『うん およめさん』
それって
どうやって
なるん?
『コウくんはこどもやなあ そんなんもしらんの?』
(なんか ちょっと はらたつけど まあ ええわ)
わからへん
『おっきくなって けっこんしたら およめさんになるねんでー』
けっこんするって
だれと?
『うーん・・・ コウくんの およめさんに なってあげてもええよ』
うん
じゃあ
そうして
『そのかわりー コウくんはー うちのこと しあわせにせんとあかんねんでー』
しあわせにするって
どうすんの?
『おいしゃさんになってくれるんやったら それでええよ』
ふうん・・・
ぼくは
けっこんとか
およめさんとかは
よくわからんかったけど
おっきくなっても
ミコトちゃんと
いっしょに
いるなら
それも
いいなと
おもった
それからも
ぼくは
まいにち
ミコトちゃんの
へやにいったけど
ときどき
ドアがしまってたから
そういうときは
はいらんと
じぶんとこに
もどった
ミコトちゃんも
それで
ええみたい
やったから
そのことは
なんも
きかんかった
ふたりで
おるときは
たいてい
おりがみするか
いっしょに
ほんをよんだ
いっぱい
いろいろ
よんだけど
『にんぎょひめ』
よんだとき
ミコトちゃん
ないてもうた
『にんぎょひめがかわいそう』
っていうて
しばらく
ないてた
ぼくは
どうしたらええか
ようわからんかったけど
ミコトちゃんの
せなか さすって
ずっと
そばに
おった
いっかい
ミコトちゃんの
ママに
おうた
すっごい
きれいな
おんなのひと
やった