ふわっ

壊れ物でも触れるように、涼は大きな両腕で、優しく私を包み込んだ。



「めっちゃ、嬉しい」



私の耳に、呟くような言葉が聞こえた。

からかわれるかと思ったけど……そんなに喜んでくれるなら、もっと早く話してれば良かったね。

そう思って、私も涼の背中に腕を回した。



その時。

辺りの明るさがより一層、増してきた。

心なしか、回りの気温も上がってきている気がする。



涼の体温を感じながら海の方を見ると、水平線から太陽が顔を出し始めていた。