……えっ?

予想外の話で、私は思わず涼の方を見た。

涼は海の方を見たままで、その時の事を思い出している感じだった。



「今思えば、一緒に居たのは伊藤と佐伯だろうな……『もうすぐ俺もあんな生徒達を教えるのかな』、そう思って最初は見てたけど、途中で気が付いたんだ」

「えっ? 何を?」

「3人組の女の子の中で1人だけ、淋しそうに海を見ていた……それが美雪だった」



涼のその言葉で、私は再び視線を海に戻した。

あの頃は、僚二の事を考えていたからだ。



「胸が痛んだんだ……まだ若いのに、淋しげに大人みたいな笑顔をしてるおまえを見て……。『もっと無邪気に笑った顔が見たい』、そう思った瞬間には、もう惚れてたんだよ」



きっと涼が優しい人だから、そう思ってくれたんだよね?