何処に行くつもりなんだろう?

最初は涼が向かっている場所が分からなかった。



でも。

途中で分かった。



辿り着いたそこは、大きな松の木の下。

涼に『僚二の事は忘れないでいい。思い出にすればいい』、そう諭された場所。

そして、初めてキスをした場所。



辺りは随分明るくなり、間もなく夜が明ける。



「おまえを助けたあの日、俺はあそこに見える小島に居たんだ」

涼は左手で私の肩を抱いたまま、空いてる右手でちょっと離れた所にある小島を指差した。

「あそこから、海辺に居たおまえ達を見ていた」