コンコン

窓ガラスをノックすると、やっぱり手にタバコを持った涼が振り返った。



「外、寒いですよね?」

私は窓ガラスを開けて、そう言いながら灰皿を差し出した。



「1本だけ、な?」

軽く『サンキュー』と言う感じで手を挙げて、私から灰皿を受け取り、涼は苦笑いで言った。



まったく、悪さの見付かった子供じゃないんだから、私に言い訳しなくてもいいのに。

思わず、私も苦笑い。



すると。

「あのさぁ、美雪」

ちょっと離れたテーブルの方から、希未の声がした。