しばらく沈黙が続き、しびれをきらしたのか、男のほうが先に口を開いた。

「おまえ、見たことねぇ顔だな。」

「そ、そうでしょうかっっ⁈」

冷静な男に対してテンパりまくる私。

「ふっ…」

男が鼻で笑った。

その態度に怒りを覚えた私は、

「な、何が面白いのよっ‼」

はぁっ、言えた。

女の子としてもバカにされたままじゃたまったもんじゃない。

「いや、別に」

「な、何よ」

「面白ぇなぁって思っただけ」

カッチーン‼‼‼

私の怒りはMAXに至った。

「んじゃ、俺行くとこあるし、じゃっ」

そういって男は私に背を向けた。

私も職員室に早く向かわなければと足を急がせようとした。

「おい」

またしてもさっきの男の声。

「おまえ、名前なんてぇの?」

「…っ香‼稲沢麗香っ‼」

「へぇ、自分の名前は言えるんだ」

あたし、今マヂギレ中。

てか、朝からキレてばっか。

でも一応、あのむかつく奴の名前は聞いておこう。

「あ、あなたはっ?」

「俺? 俺は竜太」

「ふ、ふーん」

「じゃっ、行くわ」


この時私はこのあと起きることなんで全く知らなかったんだ。