その瞬間、フワッ、と何かがあたしを包む。
「これでもう寒くないっしょ?」
悠が、自分の上着を脱いで、あたしに羽織っていた。
少し大きい悠のブレザーからは、悠の匂いがして、たしかにあったかい。
けど……
「こっちのが……いい。」
あたしは、キュッ、と悠に静かに横から抱きついた。
恥ずかしいけど……付き合ってるし。カレカノだし。……憧れの一つだったし。
「……こっちのほうが、あったかいもん」
なんて言い訳するけど、本当は、悠にくっつきたいから。
「……そーだね」
そう言いながら、悠は優しく……あたしが星を見れるようにと、後ろから抱き締めてくれた。
悠……好き。
すっごい好き……
「あっ!!季里!今の見た!?」
「えっ!?」
「星!流れ星!!見てなかったの!?」
「ええぇっ……見てなかった…」
ガーン。
だって、悠のこと考えてたんだもん。
悠のせいだし。
「たぶんこれからいっぱい降ってくるから、ずっと空見てなよ?」
「……うん」