―――『おまえ、季里に何してんだよ!!』
……あ
あの時と、一緒だ……。
悠は、怒鳴ったあと、鈍い音を立ててオヤジを殴った。
オヤジは、殴られた衝撃で「うっ……」と呻きながら地面に叩きつけられた。
あたしは、驚いて「キャッ……」と言ってしまった。
……だって、悠が人を殴るのなんて、初めてだったから。
いや、あたしが見てないだけかもしんないけど……
「……失せろ」
そう吐き捨て、あたしの手を握り、あたしが行こうとしている場所への道を、あたしは小走りで進んで行った。
「ねぇっ!悠っ!悠ってばっ!」
あたしが呼び掛けても全然答えてくれないし、歩く速さは一向に遅くなる気配はない。
やっぱり……まだ怒ってんのかなぁ……?
そう思い、あたしはうつむいた。