「無理無理無理!!あたし好きな人いないけど、勝手に決められるのも嫌だ!!」


そう叫ぶように言いながら、
ばんっと机を叩いて
勢いよく立ち上がる。


その瞬間リビング内は、
水を打ったようになった。

結子さんの皿を洗っている音も
ぴたりと止み、水がジャーッと
流れる音だけが聞こえる。


しばしの沈黙が流れ、
正直あたしはどうすればいいか
わからなくなった。

え、何。この反応は…


「…何を言っとるんだ、お前は」


「は?」


じーちゃんは、何とも言えない…
というように顔を歪めて、
深いため息を一つついた。


「何だ、その意味の分からん思考回路は」


「え?違うの?」


「お前が何を考えているかは知らんが、多分違うと思うぞ。まぁ、取りあえず座れ」


「あ、うん…」


何だ、違うのか。


ホッとして、
中身が少し冷めてしまった
湯呑みを手に取った。