「ああ…、…へ?」
…父親と、母親?
自分と同じ名字なのに、
正直、ぴんと来なかった。
「こんな、名前だったんだ…知らなかったな…」
そう、あたしは今の今まで
両親の名前を知らなかった。
…あたしは、
物心が付く前からじーちゃんと
結子さんに育てられてきた。
理由は…知らない。
ただ、あたしの両親は死んではいないけど、一緒にいられないんだ、とじーちゃんにずっとそう言い聞かされてきた。
「明ちゃんは小さい頃…よく、何であたしにはお父さんとお母さんがいないの?って聞いてたわ」
確かにあたしはそれを、
ずっと不思議に思っていた。