窓から入ってくる日差しが冷えた体を暖めていく。

太陽の光が部屋を照らし、全体が輝いて見えた。

綺麗な光景に頬を緩め読みかけの本にまた目を落とす。

ページを捲ろうと手を動かすと頬に何かが当たる。

否、当たると言うより撫でると言う方が正しい。

きっと、これは彼の手の甲だろう、いつの間に隣に来たのだろうと思いながら本に集中する事を選んだ。

だが、頬を撫でる動きは止まることはなくその動きが心地よく感じてくる。

心の中でため息をつき、本から視線を外し、顔を彼に向けた。

「集中できない」

それだけ言うと彼は無表情だった顔を変えニヤリ微笑んだ。

「何に？」

「本に」

わざとらしく聞く彼に少し苛立ち一言で伝えた。

ニヤリと笑っていた彼は満面の笑みで此方を見た。

「いいじゃねぇか」

「よくないよ。読めないじゃない」

頬には未だ、滑らかに動かし撫でてる手がいる。

「読めなくていいんだよ」

「嫌よ。続きが気になるし」