そして、目的地に到着した。

『レストラン・ルクポワ-ル』

美緒「ここって・・・」

圭悟「先に入っているからな」

真智「さ~てと・・・」

美緒「え・・・ねぇ、なんでこんなところに」

あゆむ「さ、中に入ろう」

美緒「・・・?」

・・・

ルクポワ-ル内

あゆむ「どうぞ?」

美緒を中に招き入れる。

美緒「・・・あ」

中に入ると、店の中は綺麗に飾られていた。
いつも以上に綺麗に。

美緒「これって・・・」

メグと楓さんが二人で大きなケーキを抱えて、美緒の前に来た。

あゆむ「せ~の・・・」

皆「美緒ちゃん、お誕生日おめでとう!!」

夏希さん、明日香さん、楓さん、メグ、三上先生、小泉先生。
それに、事情は話していないけど、尚人や慎二にも来てもらった。

美緒「私の・・・誕生日・・・」

メグ「ほら、美緒? 早く吹き消して?」

ロウソクに灯った火。
その火だけで照らされている暗い店内。

美緒「・・・」

美緒は何も言わなかった。
何か言おうとしていたのかもしれないが、
肩が震えていた。

美緒「何もしてくれなくていいって言ったのに・・・」

あゆむ「・・・」

美緒「思い出なんて・・・いらないって思ってたのに・・・!!」

ロウソクの火が照らし出した『嬉しさ』の形。

皆が微笑んでいた。

美緒「でも・・・」

あゆむ「・・・」

やっと僕は、本当の君に会えた気がする。

美緒「ありがとう・・・」

そう言った瞬間に、今まで溢れ出なかった涙が一雫、
美緒の頬を伝って落ちた。

美緒「ありがとう・・・」