メグ「あゆむ、そろそろ・・・」

あゆむ「あ、ほんとだ」

メグに言われて時計を見ると、面会時間も終わりに近づいていた。

メグ「また来るね」

美緒「うん。 今日はわざわざありがとう」

メグ「・・・うん」

メグはそう言って、先に病室を出た。

あゆむ「それじゃあ、またね」

美緒「うん」

僕はこの日、『また明日』とは言わなかった。

この日、美緒は僕たちを下まで送らなかった。

病室を出て、メグと会う。

メグ「ねぇ・・・」

あゆむ「ん?」

メグ「私って・・・あの娘にとって何なのかな?」

メグの口から出た言葉。
強烈だった。
今日だってあんなに仲がよさそうに話していたのに。

あゆむ「何って・・・友達だろ?」

メグ「・・・うん」

そしてメグは続けた。

メグ「私はそう思っているよ。 でも、あの娘は・・・」

あゆむ「ちょ・・・どうしたの?」

メグ「さっき、別れ際にさ。 『わざわざ』って言ったよね」

メグは美緒の言葉に敏感に反応していた。

メグ「『わざわざありがとう』って。 なんか、心にグサッと来てさ」

美緒からしてみれば優しい言葉なのだろう。
でも、メグには辛かったのかもしれない。

あゆむ「・・・」

メグ「悩んでいてもダメよね。 うん!! 明日のあの娘の誕生日、盛大に祝ってあげようよ」

あゆむ「え・・・でも」

メグ「でもじゃないの。 ほら、せっかくだしさ」

美緒は、本当は祝ってもらいたくないと思っている。
それでもメグは祝いたいと言っている。

メグ「あんたはどうしたいの? 祝いたい? それとも祝いたくない?」

あゆむ「僕は・・・」

メグに言われたからってわけじゃない。
僕自身の意思として導き出した答えは・・・

あゆむ「祝いたい」

せっかくの誕生日。
独りきりで悲しい思い出なんかにしたくはない。
美緒がどう思っているかじゃない。
僕が、僕らが美緒のために何をしてあげたいか。

そして病院を出た後、僕とメグは街にくり出した。

・・・

・・・