東都病院前。

あゆむ「・・・」

時間はもう19時になろうとしていた。

祐司「これが、君が出した結論か?」

闇の中に一人の男性がいた。

あゆむ「・・・はい」

祐司「美緒にとってはつらいことになるぞ?」

あゆむ「それでも、美緒が望んでいるんだ」

その瞬間に時間が止まった。

祐司「・・・」

あゆむ「・・・」

どれほどの静寂だったのだろうか。
時間にしてしまえば、おそらく数秒であろう。

乾いた風が僕と彼の間に吹いていた。

祐司「美緒が望んだのは・・・俺じゃなく、君か」

あゆむ「・・・」

祐司「・・・」

彼は微かに笑っていた。
そして・・・

あゆむ「門崎さん?」

祐司「・・・君に何ができる? 君があの娘の病気を治すとでも言うのか!? 医者でもない君が!!」

あゆむ「・・・!」

彼に突きつけられた言葉。
『医者でもないのに』
この言葉が、僕の胸に深く深く突き刺さった。

祐司「死にゆくあの娘を助けられるとでも言うのか!?」

あゆむ「!?」

・・・
今・・・何て?

あゆむ「誰が・・・死ぬって・・・?」

祐司「・・・」

彼はハッとして、「しまった」というような表情をしていた。
それでも僕は止まらなかった。

あゆむ「門崎さん!!」

僕は彼の肩を掴んで揺すった。
強く、強く。