祐司「知っているとは思うが、明日香だけじゃなく、夏希も真智もあの病院にいる。
   それを抜きにしても、俺は美緒とは無関係ではないが・・・」

あゆむ「それって・・・?」

祐司「わるいが、あまり深くは教えられない。 教えるにしても、これから俺が君に話すつもりの内容について、君がどこまで知っているかにもよる」

あゆむ「ちょっと待ってください。 あなたがどうこう言う以前に、僕は美緒についてそれほど知っているわけじゃない」

祐司「知っているよ」

あゆむ「・・・」

なんだろう、この気持ち。
胸がムカムカする。

祐司「ひとつだけ確認させてくれ。 君は、美緒の病気のことを知っているのか?」

美緒の・・・病気?

そうだ。 入院していて、しかもそれが長期であるならば、
それ相応の病気を持っていて、治療に時間がかかったり、治療自体が困難であることは容易に想像できる。

あゆむ「知らされていません・・・誰からも」

祐司「・・・」

僕がそう言った後に、彼はしばらく黙ったままだった。

たった数秒だと思うが、とても長く感じた。

いてもたってもいられなくなり、僕が口を開きかけた時。

祐司「そうか。 だったら、今、俺が君に話すことは何もない」

あゆむ「え?」

不意をつかれたといっていい。
唐突に彼はそう言った。