夏希「ほら、食べないと冷めちゃうよ? ここは私が奢ってあげるからさ」

あゆむ「え!? そんな・・・悪いですよ」

夏希「子どもはそんなの気にしなくていいの。 ほら、早く食べよ?」

そう言う夏希さんは未だに食事に箸をつけていなかった。

あゆむ「じゃあ、お言葉に甘えて・・・いただきます」

夏希「うん。 けっこう評判いいからおいしいと思うよ」

そして僕は食べ始めた。

夏希さんは頬杖をついて、ただ僕の方をずっと見ていた。

あゆむ「・・・?」

気になって僕も夏希さんの方を見る。

夏希「・・・食べたね? 私のおごりを」

あゆむ「え・・・?」

夏希さんが妖しく笑う。
あ、なんか前に病院で会った時も遊ばれたような気が・・・

夏希「それでさ、頼みがあるんだけど」

あゆむ「え・・・内容によりますけど」

夏希「明日から毎日欠かさず、放課後に病院に来てくれない?」

あゆむ「えぇ!? どうしてそんな面倒で意味のないことを!?」

夏希「ちなみに君に拒否権はないから」

あゆむ「え・・・あ!!」

そうか、この食事!
夏希さんがおごってくれると言ったこれは、
まさしく文字通り、僕をつるためのエサ!?

夏希「理解できたようね。 じゃ、そゆことで~♪」

あゆむ「ちょっと待ってください! これって詐欺じゃないですか!?」

夏希「ノンノン♪ 必ず成功する交換条件の提供方法って言ってね」

あゆむ「でも・・・え?」

夏希さんは僕と自分を交互に指差す。

夏希「食べたのは君。 そしておごるのは私。 既成事実は既に出来上がっちゃっているの」

楽しそうに言う。
この人は・・・!!