あたしは結局、大学には進学せずに働く道を選んだ。


でも進路希望は白紙のままで、就職するにしても自分のやりたいことが見つかるまでゆっくり考えたかった。







そんな高校三年の11月、あたしは居酒屋のバイトが終わり、夜10時過ぎの心斎橋商店街を一人で歩いていた。




『なぁ一人？どこ行くん？ちょっと話聞いてや』




ナンパ？

そう思ったあたしは無視して歩いた。



しつこくついてくる黒のダウンを着た男。


なんなんこいつ…





そう思って睨んだら、突然名刺を渡された。





これがスカウトマン、藤堂 圭吾との出会い。







『絶対もっと可愛くなれるし仕事も楽しいし時給もめっちゃいいから気が向いたら連絡ちょうだい』




藤堂 圭吾はにこっと笑ってそう言った。




『何の仕事？』

あたしはふいにそう聞き返した。