コツコツコツ…

廊下を歩いて聖夜の待っている場所へと向かった。



でも、ロビーに歩いていくと信じられない光景が目に映る。


あの子と聖夜が座って話をしていた。



な…にしてるん?

なんなん…!!!




『聖夜!もう終わったから帰るで!』


あたしは少し大きな声で聖夜を呼んだ。


『おー、分かった。ほんじゃお大事に』



聖夜は香織にそう言うとあたしのところに歩いてきた。



その時の香織の聖夜を見る目は、寂しそうに見えた。

あたしはそれを無視して聖夜と手を繋いで出口に向かった。





『話終わったん?大丈夫?なんやったん?』

『うん…大丈夫終わったから。それよりあの子と何喋ってたん?』

『あ、売店でスポーツ新聞買ってたら偶然会ってん。なんかひどい貧血みたいで親父さん心配症みたいやから入院させられたらしいわ。それだけやで?他は何も喋ってないから』

『そっか…』





あたしは複雑だった。

ってことはあの子は知らないの?自分の病気のこと。



あたしは何故かすごく変な気分になった。


骨髄検査も断ってあの子が死ねばいいのにって思ってたことに不思議な罪悪感を感じた。