『喧嘩なんかするわけないやん。だいたいあの子とあたし何の関係もないねんから』

『そう…やな。ごめんな。悪かった』



お父さんはそう言って静かに電話を切った。






あたしは
いつもこうだった。


強く当たることしかできない。

可愛いげも何もない子。


やっぱり心のどこかでお父さんに捨てられた記憶があたしを蝕んでるんだろう。




でもあの子…
香織ってもしかして聖夜とあたしのことがあってヤケクソになってるんじゃないん?


大学行かずに遊んでるなんて、さすがお嬢さんはやることが違うわ。





あたしは気付かないうちに、いつも自分とあの子を比べ続けていた。


お母さんの初七日の日。初めて会ったあの時から。




気付かないうちにお父さんへの怨みも、あの子に重ね合わせてた。




あいつがあたしの家族壊したんだって。


あたしから幸せを奪ったんだって。