「……え、」

「……」

女の子は、あきらかに元気がなくなり“ガーン”という効果音まで聞こえてきそう。



「名前は?」

「え?」

「なまえっ!」

急に話しかけられてすぐ答えられずにいると、声を荒げて私に言ったんだ。



「……瑠璃、アナタは空ちゃんなんだよね?」

「空ちゃんって呼「凜久は渡さないから!」

「彼女の座、引きずりおろしてやる!」


…………あれ?
何か今すごいこと言われ――



「わぁ可愛い!」

凜久の上からどくと、今度は私の抱いてるクマを引っ張る。


あ、あんまり引っ張らないで……

凜久からもらった大事なモノだから――


なんて、私の心の内なんてまるで無視。


「これ、空の入学のお祝いだよね?」

クルッと凜久の方へと向き直ると長い黒髪がサラッと揺れた。