「卒業、おめでとう瑠璃」
「瑠璃がいないと寂しくなるな、特に凜久」
「ちょ……っ、余計なこと言わない」
着慣れた制服に袖を通すのも、今日で最後。
この学校も
目の前、胸に白い百合の花を付けてくれる凜久、
別れを惜しんでくれるヨウくん。
本当に今日でお別れなんだ――。
青く澄み切った空とは裏腹に、ジメジメと暗く湿った私の気持ち。
こんな気持ちのまま、卒業式は迎えたくなかったけど……
どうしても、気持ちが切り替わるのに卒業までの時間はあまりにも短すぎた。
楽しかったら、楽しかった分だけ難しいんだよね、気持ちの切り替えって。
「はぁ……」
卒業式、当日。
体育館に続く長い列に並びながら凜久たちとの思い出に浸る。